看護の現場で頻繁に聞かされるであろうカルテという言葉は、患者の症状を把握したり治療に役立つ大切なデータが記載されているものです。そのデータを元にして医療を施すことが各々の患者にとっての最適とする看護をしていくことにつながり、その患者の症状が軽くなったあとも再びカルテを作成して、病状改善後の経過を推し量ることが可能になります。言ってみれば、カルテを作成することから患者の命をつなげるために先手を打っていると言っても過言ではないのでありません。看護師の手で作成されたカルテに目を通した患者は、「俺の血圧はこんなに高かったんだ。これからは食生活に気をつけなければいけないな」という注意喚起を促していくことにつながるのです。
症状の重い患者のカルテを作成しなければならない場合、看護師には苦悩があると思うのです。自分の手元にあるカルテの詳細を患者に伝えたときに、患者がいかに重い症状に侵されているのかを実感して、その患者の生きる希望を失わせてしまうことを懸念する看護師の耐え難い思いがあるのではないでしょうか。それでも、そのカルテの詳細を患者に伝えると共に、「私と一緒に症状が快方へ向かうように頑張りましょう。諦めなければ必ず健康は取り戻すことができます」といった励ましの言葉を患者に掛けていくのでしょう。しかし、患者が癌であった場は、看護師が命の危険を証明させるカルテの詳細を患者に見せることに断腸の思いでためらってしまうこともあるでしょう。病を偽りなく正直に伝えるのか、それとも希望をもたせるために少し隠して伝えるのか、それのどちらが正しいのかは誰にもわかりません。
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